朝(あした)には

雑感とか旅行とか。

読了『SF映画術』

※別ブログに私が書いたものを転載

 

 読みました。最近『マーダーボット・ダイアリー』にハマったせいでSF全般がアツい。

 

SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座

 

 

タイトル:『SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座』

著者:ジェームズ・キャメロン 他

出版社:DU BOOKS

発売日:2020年9月30日(日本語訳)

価格:3520円[紙・ジュンク堂書店池袋本店]

 

読了日:10月31日(再読)

 

 ひどくどうでもいい話なのだが、私はジョーゼフ・キャンベルの著作を呼んだ時に違和感を覚えた。なんというか、キャッチーでカッコよくエモい言葉がちりばめてあって、それでいて概念、イメージ、記号の話どまりで、それなのに妙に自信をもって断定口調で語っている……のだ。「それは本当に正しい事実なんだよね?言葉がカッコよくてエモいから採用しているわけじゃないよね?」みたいな、なんかそんな疑念、というか。まあこちらの読み取りが甘い可能性が高いのだが。読んだのも大分昔なので……。

「まあこちらの読み取りが甘い可能性が高いのだが。読んだのも大分昔なので……」とか、判断の余地や別解釈の可能性(あるいは単なる逃げ)を残すことを半ば生業としている人間にとって、カッコいい言葉で記号化した話を断定口調で語られることは、妙な居心地の悪さがあったのは事実なのだ。

 

 本書はそういうキャッチーカッコよい概念語りがないわけではないが、キャンベルの扱う数千年に及ぶ神話などとは違い、こちらは実経験として長くSFに携わった人びとがSFを語る本だ。

 Amazonレビューにもあるが「映画"術"」が学べる本ではない。SF好きのおっちゃんがSF好きのおっちゃんにSFを描くことを熱く語るSFづくり対談である。

 ロボットや宇宙、人間とは違う生き物、AI、タイムトラベルなど……をまんべんなく拾っていて役に立つ。日本のアニメやゴジラへの言及も多く、日本という国家に帰属していることに熱心な想いはない私でも嬉しくなった。

 SFを描く人には勧めたい。